切削プレートの歪みを最小限にするために押さえておきたいこと
プレート加工において、「歪み」は製品の品質に直結する重要な要素です。当社では、歪みの発生を最小限に抑えるために、素材選定から加工工程、後処理、検査体制に至るまで、徹底した対策を講じています。以下に、プレート加工時の歪み抑制における重要なポイントをご紹介します。
素材選定の重要性
材質の選定は、歪み抑制の第一歩です。金属にはそれぞれ異なる機械的特性があり、加工時の応力解放による歪みの発生しやすさにも大きな差があります。
ステンレスの場合
特にSUS304は、加工中の歪みが発生しやすい材質です。中でもSUS304コールド材(冷間圧延材)は、内部に残留応力を含んでおり、加工時にこれが解放されることで歪みが顕著に現れます。
そのため、材質の指定がない場合は、歪みの出にくいSUS303の使用を推奨しています。SUS304が指定されている場合には、アニール処理された焼鈍材を使用することで、歪みを大きく抑えることが可能です。
アルミニウムの場合
アルミでは、A2017やA7075などの2000・7000番台は強度が高い反面、歪みが発生しやすい傾向にあります。そのため、汎用プレート加工では、比較的歪みに強いA5052の使用を推奨しています。
2000・7000番台の材質を指定された場合には、粗加工→仕上げ加工といった工程分けや、手作業での歪み取りが必要となり、加工コストの上昇をご了承いただいております。
切削条件の最適化と工具選定
加工条件についても、歪み抑制のための工夫が欠かせません。たとえば、送り速度をやや落とす、切り込み量を少なくするなど、加工時に素材へかかる力をコントロールすることで、ワークへのストレスを軽減し、歪みの発生を抑えることができます。
また、使用する工具についても、材質ごとに最適なものを選ぶことが重要です。ステンレスには耐摩耗性に優れたコーティングが施された4枚刃の工具を、アルミには切粉排出性に優れた2〜3枚刃の工具を使用することで、それぞれの特性に応じた安定した加工が可能になります。
さらに、平面度や平行度において0.01mm以下というような極めて高い精度が求められる場合には、切削加工の後に研削加工を施すことで、より精密な仕上がりを実現しています。当社では、協力工場との連携により、こうした高精度な要求にも対応可能な体制を整えております。
後処理による歪み低減
加工後の歪み取りも、精度維持のためには欠かせない工程です。当社では、経験豊富な職人が手作業によってワークの状態に応じた微調整を行い、歪みを取り除いています。
薄物プレートにおいては、専用の工具を用いてミクロン単位での調整を行うことで、仕上がり精度を確保しています。一方で、厚みのあるワークやサイズの大きな部品に関しては、手作業では限界があるため、専用の手動歪み取り機を使用しています。
用途に応じて、小型のハンドプレスと、大型ワーク向けのジャッキプレスを使い分けており、それぞれの設備によって最適な力加減で矯正作業を実施しています。
検査体制
最後に、品質保証の面でも徹底した体制を築いています。当社では三次元測定機を3台保有しており、すべての製品に対して厳密な検査を実施しています。検査室は20℃に恒温管理されており、熱膨張などによる寸法変化を排除した正確な測定が可能です。
こうした検査環境のもとで、わずかな歪みや寸法ズレも見逃さず、不具合のある製品が外部に流出することを防いでいます。
プレートの切削加工事例
コの字プレート

幅公差±0.05mm、平面度0.1mmという厳しい要求に対応するため、6面フライス加工済みの焼鈍材を使用しています。焼鈍材は内部応力が低く、加工中の歪みを最小限に抑えることができるため、高精度プレートには最適です。
また、粗加工で発生する変形を想定し、応力を開放した後に仕上げ加工を行う二段階の加工工程を採用することで、安定した寸法精度を実現しています。
A5052 プレート

従来は複数の工程に分かれていた加工を、当社では横形マシニングセンタにより2工程に集約し、効率化を図りました。しかし、平面度0.05mmという高精度が求められる中、通常のバイス固定ではL字形状や穴加工によりワークに歪みが生じてしまいます。
そこで当社では、ワークに無理な力が加わらないよう専用治具を設計・製作し、固定方法から見直すことで歪みを抑えつつ、高精度な仕上がりを確保しました。
プレートの切削加工なら、精密切削 スピード加工センター.comにお任せください!
切削プレートの歪みを抑えるためには、「素材選定」「切削条件」「加工後の歪み取り」「検査体制」のすべてが密接に関係しています。当社では、長年の加工ノウハウと職人の技術を活かし、歪みの少ない高品質なプレート加工品を提供しています。
プレートの切削加工のことなら、是非当社にご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!