鉄プレートの切削加工
当社では、半導体製造装置や食品機械、各種産業機械向けに、SS400・S50Cといった炭素鋼プレートの精密切削加工を提供しています。本記事では、SS400・S50Cの特性と、それぞれの加工ポイントについて詳しく解説します。
*S45Cは主に丸棒や線材、ミガキ材として流通し、S50Cは板材や角材の形状で供給されることが一般的です。そのため、炭素鋼プレートの加工には、S50CまたはSS400が主に使用されます。
SS400のプレート加工
SS400は、日本工業規格(JIS)に基づいた一般構造用圧延鋼材で、炭素含有量は約0.20%です。その優れた加工性とコストパフォーマンスから、建築や機械部品、各種産業機械に幅広く使用されています。
SS400の特性
耐食性
SS400は耐食性を備えていますが、炭素を微量に含んでいるため、錆びやすい性質があります。屋外や高湿度環境で使用する場合、防錆処理が推奨されます。
加工性
SS400は延性が高く、曲げ加工・成形・溶接が容易です。切削加工においても比較的扱いやすく、精密な仕上げが可能です。
強度
機械的強度に優れ、一般的な構造材として適しています。ただし、熱処理による硬度向上は困難なため、耐摩耗性を求める用途には適しません。
SS400の切削加工時の注意点
SS400は内部応力の影響を受けやすく、切削後に反りや歪みが発生しやすい特性があります。特にL字やコの字形状の加工では、精度維持が重要になります。対策として、以下の方法を推奨します。
焼鈍材を使用する
内部応力を除去した材料を選定することで、反りを抑制することが可能です。
浅切削を活用
負荷を抑えた加工方法を採用し、歪みの発生を軽減できます。
S50Cとの比較
SS400は溶接性が極めて良好で、溶接後も安定した強度を確保できます。また、曲げ加工にも適しており、破断のリスクが低いため、成形用途に最適です。一方で、炭素量が少ないため、熱処理による硬度向上は難しく、耐摩耗性が求められる用途にはS50Cが適しています。
S50Cのプレート加工
S50Cは、日本工業規格(JIS)に基づいた機械構造用炭素鋼で、炭素含有量は約0.50%。熱処理による硬度向上が可能で、高い耐摩耗性と強度を持つため、機械部品や精密金型などに多く使用されています。
S50Cの特性
耐食性
炭素鋼であるため錆びやすいものの、微量の銅(約0.25%)・ニッケル(約0.30%)を含むことで、一定の耐食性を確保しています。
耐摩耗性
S50CはSS400に比べて硬度が高く、摩耗しにくいため、摺動部品や金型として適しています。さらに、熱処理を施すことで、さらなる耐摩耗性向上が可能です。
加工性
切削加工性に優れていますが、SS400と比較すると硬度が高いため、工具摩耗に注意が必要です。また、溶接性は低いため、溶接を行う場合は予熱・後熱を適切に施すことで品質を向上できます。
強度
熱処理(焼入れ・焼戻し)によって、用途に応じた強度調整が可能。高い剛性を求める機械部品に適した材料です。
S50Cの切削加工時の注意点
S50Cは硬度が高いため、工具摩耗が早いという特性があります。そのため、下記のような切削条件の最適化が重要です。
内部応力による歪み対策
高精度な加工には、あらかじめ内部応力を除去した焼鈍材を使用します。
適切な工具選択
コーティング工具や超硬工具を使用し、長寿命化を図ります。
切削後の仕上げ工程
焼入れ後は硬度が高いため、研磨加工による仕上げが一般的です。
防錆対策
S50Cは耐摩耗性には優れるものの、錆びやすい素材です。特に高湿度環境や屋外使用では、防錆処理が必要となります。そのため、防錆油・防錆塗装の使用や、黒染めやメッキ処理(耐久性向上)、使用環境に応じた適切な表面処理を行います。
鉄プレートの切削加工事例
SS400 ベースプレート

こちらは、半導体製造装置に使用されるベースプレートです。
H7公差の精密穴や、穴ピッチ公差±0.02の加工が求められる部品ですが、高剛性かつ高精度な加工が可能な牧野フライス製作所製の横形マシニングセンタを使用することで、穴径や穴ピッチのばらつきを抑えた精密加工を実現しています。
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SS400は加工性・溶接性に優れ、一般的な構造材として広く使用されていますが、内部応力による歪みに注意が必要です。一方、S50Cは高い耐摩耗性と強度を持ち、熱処理による硬度向上が可能ですが、工具摩耗や防錆対策が求められます。
当社では、材料特性を考慮した最適な加工方法を採用し、高精度なプレート加工を実現しています。
鉄プレートの切削加工に関して、お困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください!
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