プレートの切削加工における歪み対策
プレートの切削加工では、反りや歪みが避けられない課題として挙げられます。特に、薄物や長尺のプレート、広範囲の抜き加工を施す部品では、内部応力や加工の影響で精度が損なわれることがあります。高精度な部品加工を実現するためには、適切な加工方法の選定と、必要に応じた歪み取りの技術が不可欠です。
こちらの記事では、当社のプレート加工における反り・歪みの発生メカニズムとその対策方法について詳しく解説します。
当社のプレート加工に使用する主な材質
当社では、主に以下の材質を用いたプレート加工を行っています。
アルミ:A2017、A5052、A6063、A7075
・用途:半導体製造装置、医療機器
鉄:SS400、S50C
・用途:半導体製造装置、食品機械
ステンレス:SUS303、SUS304
・用途:半導体製造装置、食品機械
プレート加工における反り、歪みの対策
プレート加工では、材質や形状に応じて反りや歪みが発生します。すべての材料や部品に対し、完全に歪みを抑えることは難しいため、加工前に反りや歪みが生じた際に求められる精度を見極めることが重要です。
当社では、以下のような反り・歪み取り対策を実施しています。
精度(幾何公差)の無い一般公差レベルの部品
一般公差内に収まらないほど材料が反っている場合、加工寸法に影響を与えるため、加工前に反り取りを実施します。特に、薄物プレートや長尺プレートは、材料の製造段階での内部応力の影響を受けやすく、歪みが発生しやすい傾向にあります。
広範囲の抜き加工やコの字、L字にカットするなどの加工
大きな抜き加工やL字・コの字形状の加工では、材質に関わらず反りや歪みが発生しやすくなります。特に、SS400ミガキ材やSUS304コールド材は、材料製作時の仕上げや圧延工程で残留応力が残るため、加工後に歪みが発生しやすく、粗加工後に歪み取りを行うことが多くなります。
平行度が求められる加工
平行度とは、ある面が基準面に対してどれだけ平行を保てるかを示す指標です。
基準面が反った状態で加工すると、厚みのばらつきが生じるため、基準面を平行に保った状態で加工を進めることが重要になります。そのためには、ワークの固定方法や加工方法に工夫が必要です。
平面度が求められる加工
平面度は、加工面全体の平らさを示す指標です。加工完了後に機上で公差内に収まっていても、バイスや治具から取り外すと反りが発生し、平面度が崩れることがあります。
精密部品では特に厳しい精度が求められ、当社では 平面度0.01~0.05mm以内 の部品加工が多く、歪み取りの手法が重要になります。粗加工の段階でできる限り歪みを解消し、仕上げ加工を行うことで高精度を確保します。
(それぞれの加工事例の詳細は写真をクリックしてください。)
上図のようなワーク(左から順に、A5052・S50C・SS400)は、加工時に大きな反りや歪みが発生しやすいため、平面度や平行度に加え、穴の位置精度、幅寸法、深さ精度にも細心の注意が必要です。まずは、最適な加工方法を綿密に検討し、場合によっては研磨加工を取り入れることも視野に入れます。
当社でのプレート加工における歪取り
当社では、歪みの発生を抑えるための加工方法を工夫するとともに、必要に応じて手動での歪み取りを実施しています。経験豊富な職人による手作業での調整が可能であり、材質やワークの厚みに応じて適切な方法を採用しています。
手作業による歪み取り
薄物プレートの場合、専用工具を使用し、手作業で微調整を行います。厚みのあるワークでは、手作業が難しいため、手動歪み取り機を使用します。



手動歪み取り機の使用
当社では、サイズや材質に応じた2種類の手動歪み取り機を用意しています。
小型ハンドプレス(~20mm厚の薄いワーク向け)
10mm程度の厚みなら余裕を持ってプレス可能。


ジャッキプレス(200~500mm程度のワーク向け)
頑丈な特注フレームを備え、ジャッキで強力にプレス。


仕上げ後の歪みチェック
歪み取り後は、以下の測定機器を使用し、精度を厳しく管理します。
・隙間ゲージ:微細な反りの確認
・ハイトゲージ:平行度・厚みのばらつきを測定
プレートの切削加工は、精密切削 スピード加工センター.comにお任せください!
プレート加工において、反りや歪みの発生は避けられませんが、適切な加工方法と歪み取り技術を駆使することで、高精度な部品加工を実現しています。当社では、材質や形状に応じた最適な対策を施し、高品質な製品を提供いたします。
プレートの切削加工に関して、お困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!