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技術コラム

薄物フランジにおける側面多数穴の高精度加工

薄物フランジの側面に多数の穴を高精度で加工するためには、「薄物特有の変形・逃げ・振れをいかに抑え込むか」が最大のポイントになります。

本記事では、当社が実際の量産・単品加工で採用している薄物フランジ専用の加工ノウハウと、加工事例をご紹介します。

1. 生爪で「段付き+内径ピッタリ」形状を作る

薄物フランジを外周だけで握むと、締め付け時の反りや、切削負荷による逃げ、回転方向の角度ズレが発生しやすく、側面穴の位置精度が安定しません。そこで当社では、内径基準の段付き生爪を成形し、薄物全体を面で支える保持方法を採用しています。この方法により、

・薄物特有の反りが大幅に低減
・C軸割り出し精度がそのまま穴位置に反映
・再チャッキング時でも角度ズレがほぼ発生しない

といった効果が得られます。

生爪を成形するポイントとしては以下のことが挙げられます。

・内径に合わせた 深めの段(ポケット) を作る
・成形時に、外周は軽く押さえるだけにする
・回転方向は、キー形状(ノッチ) を爪に作って位置決めする
・押し付けすぎると反るので、締め付けトルクは低めにする

2. C軸ゼロ点を「ワーク基準」で補正する

チャック基準のC軸ゼロ点では、生爪成形誤差やチャックのわずかな回転ズレといった要因を完全に排除できません。そこで当社では、C軸ゼロ点をワーク基準で補正することで、割り出し誤差を吸収しています。この方法により、薄物フランジでも±0.02°クラスの高精度割り出しが可能になります。

補正する方法は、主に以下の3つの方法があります。

・側面に基準穴または基準溝を1か所加工
・工具で軽く触って角度を測定(またはプローブ)
・実測角度をC軸ゼロに補正

3. 薄物専用の「裏当てプレート」を使用する

側面加工時に発生するたわみ・ビビりを抑えるため、当社では薄物専用の裏当てプレートを使用します。裏側から支持することで、ワーク全体の剛性を引き上げ、以下の効果が得られます。

・側面穴加工時のビビり抑制
・穴位置の上下方向ズレ防止
・穴径・面粗度の安定化

裏当てプレートを使用するには、①生爪の内側に平板(S45Cなど)をビス止めし、②ワークの端面がそのプレートに当たるようにセットします。

4. Y軸を使わず「X軸+C軸」のみで加工する

Y軸は構造上、どうしても剛性が低く、薄物加工では逃げが発生しやすくなります。一方、X軸方向の突き出し加工は剛性が高く、安定した切削が可能です。

当社では、Y軸を極力使用せず、X軸送り+C軸割り出しの組み合わせを基本としています。特に、当社が保有するヤマザキマザック製の複合旋盤はC軸割り出し精度に優れており、この加工方法との相性が非常に良好です。

5. 加工順序を工夫して「反りを先に抑える」

薄物は加工順序によって、反りの出方が大きく変わります。当社では以下の工程を基本としています。

外周 → 内径 → 側面多数穴 → 仕上げ

先に側面穴を加工すると、その後の外径・内径加工で応力が解放され、角度ズレやピッチズレが発生しやすくなります。

外周と内径を先に仕上げて形状を安定させてから側面穴を加工することで、薄物フランジでも高い位置精度を維持することが可能になります。

薄物フランジの側面多数穴の高精度加工事例

薄物フランジにおける側面多数穴の高精度加工 | 精密切削 スピード加工センター.com

こちらは、半導体製造装置向けのスプロケットを、A7075(超々ジュラルミン)で加工した事例です。
φ1.4の横穴が50個配置され、さらに7.2°±30″という厳しい角度公差を伴う複雑形状ですが、複合旋盤によるワンチャッキング加工により、高精度かつ安定した加工を可能としています。

加工事例の詳細はこちら

まとめ

薄物フランジの側面多数穴加工では、加工機の性能だけでなく、保持方法・基準の取り方・加工順序といった“工程設計力”が精度を左右します。

当社では、内径基準の段付き生爪、ワーク基準によるC軸補正、裏当てプレートによる剛性確保、X軸+C軸に特化した加工方法など、薄物専用のノウハウを組み合わせることで、厳しい位置・角度公差にも安定して対応しています。

薄肉形状や側面多数穴、角度公差付き加工でお困りの際は、図面段階からの加工相談にも対応可能です。ぜひ当社にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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